たまりば

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みえないものも力

私は『TRUE COLORS』というエンパワメントプログラムのファシリテーターもやっています。

『TRUE COLORS』はユングなど専門家の分析用ツールとして使わる気質のタイプ分けをベースとし、
演劇と教育の専門家であるドン・ロゥリーが誰でもわかりやすいよう4色のカラーを使ってタイプを表し、カラーとカラーの間で起きがちな典型的なすれ違いや誤解を寸劇にして上演したのが始まりです。
相互理解を促す劇は大評判で、教育や医療機関、企業に広がっていき、そのプロセスの中で、多くの教師やカウンセラーがプログラムに加わり、エンパワメントプログラムとして現在のプログラムの形になりました。

<特徴>
★一人の中にあるカラーの組み合わせを考える
「人を4タイプに分類する」のではなく、
「4つのカラーが自分の中にどんな順番で組み合わさっているかを考えます」
実際は、第一のカラーだけが強く出ている場合はむしろ少なく、
第二のカラーの影響をかなり受けているのがふつう。
相手によって、場面によって、表に出てくるカラーは異なる。
第四のカラーはストレスになりやすい。

★楽しみながら学べる「エデュテイメント」
エンターテイメントとエデュケーションを合わせた造語
遊び+学びの効果を大切にしたプログラム構成。
遊びの要素が含まれているために、グループでも学びやすく、
やっかいな人間関係でも深刻にならずに捉えなおすことができる。

私はもともと、カウンセラーとして、自己肯定感を高めるツールを探していて、これだ!と勉強しはじめたのですが、一番役だっていると実感しているのは、自分自身の成長であり、また小2の息子との関係です。

私の第一カラーはオレンジです。
チャレンジやリスクを好み、わくわく、面白そう!と思ったとたん行動しています。
今が大事。早さを重視。行動の自由を求めます。

そうしてきたからこその多くの成功体験をもちます。

小2ですので、まだまだわかりませんが、おそらく息子の第一カラーはグリーンです。
小学校に入ってから、顕著に出てきたように思います。

グリーンは、一人の時間、自分だけの場所を大切にします。
オレンジが行動の自由を求めるように、グリーンは思考の自由を求めるからです。
次々と疑問がわいてきて、何でだろう?どういうことだろう?と考えます。
1つのことを深く深く追求します。これまでの知識etcをもとに、いろんな角度からじっくり考え、理論を組み立て、時には、それまでの常識をくつがえすような新しい発見さえします。
学校で教えているような過去の数々の新発見という偉業は、グリーンがいるからこそかもしれません。


オレンジの親とグリーンの子が共に生活するとどういうことが起きるかお話しましょう。

グリーンはすぐには行動に移しません。
考えて、納得してから行動に移します。

オレンジはそれをとてもじれったく感じます。だって今この瞬間が大事なのです。
次々と新しいことを進めたいのです。
せっかくの機会なのになんで挑戦しないの?勿体無い。と感じます。


他人にイライラするときって、どういう時でしょう?
イライラして当たり前=自分に直接害があるものって、意外と少ないのかもしれません。
もっとこうすればもっとうまくいくのに、どうしてやらないの?
こうしないと後々心配だわ。
なんて、大抵は勝手に思っていることばかりです。
自分がよしと思う価値観どおりに事が進まないのがとても気持ち悪いのです。

先日、息子が公園で女友達とケンカし、髪をひっぱりました。
ケンカしたまま、離れて座っている息子と女友達。
二人を連れて帰る時間も迫っていたので、私は息子の側に寄っていきました。
私は、息子に、「どうしたの?」と尋ねました。
息子は「彼女がずるした」と怒っています。
「彼女にずるされて悔しのね。どうするの?」と尋ねました。
彼女に「謝ってほしい」そうです。
「ずるされて悔しから謝ってほしい。それを彼女に伝えたい。OK。
それと、君が彼女にしたことで伝えたいことはある?」
息子は、黙っています。
TRUE COLORSを学ぶ前の私だったら、どれだけ彼の沈黙を黙って待てたでしょうか。
オレンジの私は、さっさと行動に移したいのです。
一言ごめんと言えば”すぐ”済むのにと思ってしまいます。

しばらく黙っていた後、息子は、「考えてるんだ」と一言いいました。
私は、「わかった」といって、その場を離れ、更に彼が一人でいる時間をつくることにしました。

彼はしばらく考えた後、女の子のもとに行き、なにやら話をしていました。
そして、そのまま一緒に遊びだしました。
どう伝えたか知りませんが、それはどうでもいいことです。
彼なりに解決したようです。

私が、あの時、物事が進まないことにイライラして、たたみかけるように話しかけたり、
じれったくなって、息子を連れて女友達の前で謝らせたらどうなるでしょうか?
私は息子のことを、
”すぐその場で”謝れない子と思ってしまうかもしれません。
彼が自分で友人とのケンカを解決する姿を目にすることはなかったでしょう。
グリーンの子に、”すぐ”を求めることは、
考える自由を奪い、納得しないまま行動を強制させられるという非常に大きなストレスを与えることになります。


なんで、こんなことを書いたかというと、
先日、EFC主催で、リヒテルズ直子さんをお招きして
「共に生きる未来社会は学校改革から―オランダの共生教育―」の講演会を行いました。
参加された方は覚えているでしょうか?
自尊感情と自己肯定感を育てるインクルーシブ教育の特徴として
『多面的インテリジェンス』の紹介がありました。
その1つである『思考スマート(自己内省的インテリジェンス)』にハッとしたのです。

言語や論理、身体、音楽リズムといった教科にむすびつけられないこともないインテリジェンスと同じ並びで
思考という状態、プロセスが入っていることに驚きました。
そうなんです。自己内省は立派な力なんです。

私はただただこのことに感動していました。
TRUE COLORSのファシリテーターをしていると、
第一カラーがグリーンの人から、学校時代の生きずらかった経験を聴くことがよくあります。
集団生活の中で、決められた時間割で進む毎日。
すぐ表現できないことでどうしても感じてしまう劣等感。
もちろん、第一カラーだけで生きているわけではありませんので、他のカラーもつかってうまくやっていける人もいます。
グリーンは一度興味をもつと、深く深く追求していくので、誰にも負けないというものを見い出し、力を発揮する人も出てきます。


自尊感情と自己肯定感を育てるインクルーシブ教育の特徴として
『多面的インテリジェンス』の紹介があり、その中の1つとして『思考スマート』がある。
もしかすると、オランダに第一カラーがグリーンの人が多いのかもしれませんが、
恐らく、学ぶべき教科からおとした『多面的インテリジェンス』だとしたら、
『思考スマート』は入ってこないのではないかと思います。
人によって様々なプロセスや発揮しやすい能力がある。
個別の子供の適正を見極め、発達を促すための工夫を一生懸命やっているからこそ、
出てきた『多面的インテリジェンス』なのではないかと思います。

一人一人違うからこそ、
自分ができないことを助けてもらえるし、自分も誰かの役に立てる。

まだEFCの一員としては何もできていない私ですが、
EFCとして先日の講演会を開催できたのは、喜びであり、誇りであり、希望であり。

息子よ!未来はあかるいぜ!おかあちゃんはがんばるよ!



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    Posted by rika_rika at 12:53│Comments(0)Colors
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