たまりば

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許し

先日、ファミリーファシリテーターの研修に参加しました。
ファミリーファシリテーターというのは、
家族療法の知識がある
(家族の構造や、家族サイクルに伴う課題、DVやニートフリーターなど個別の問題など)者で、
家族を対象としたワークショップの促進役(ファシリテーション)を行う人のことです。

アルコール依存や子育て支援など、
自助グループ(ピアワーク)はいろいろありますが、
ご自身が体験者ということで関わっている場合、
家族療法やカウンセリングなどの専門家が
ファシリテーターをやっている場合があり、
後者のケースです。

先日は、その集まりに、
ファシリテーターとしてではなく、参加者役として参加しました。
いいカウンセラーになるには、クライエント経験を沢山しろといいますが、
ファシリテーターにも同じことが言えて、参加者として参加することで、
参加者としての心の動きや、グループが持つ力を実感することができ、
それが、ファシリテーターをやる上で、力になります。

今回のテーマは「介護」でした。
私は20歳の大学生役で参加しました。
ただ、今回、いつもとは違ったのは、別人になったのではなく、
名前こそ偽名ですが、20歳の当時の私になって参加しました。

実は、私は、祖母の介護の件で、ずっと引きずっていたわだかまりがありました。
それに気づいたのは、カウンセラーになってからです。
クライエントが介護の話しをはじめると、
クライエントの話しを聴けない自分に気付いたのです。
クライエントの話しを聴きながら、
自分の過去のことを回想したり、そのことで自分の気持ち動いてしまう。

大学の時に、母が実の母ではなく、その妹さんを家に引き取りました。
目が見えないせいか、結婚もされておらず、
本家である母の姉の家にいたのですが、母の姉のご主人と折り合いが悪く、
母が引き取ることにしたのです。

環境がかわったせいでしょうか、目も見えませんから、
不安な要素がたくさんあったのだと思います。
だんだん、認知症が出てきてしまい、
ついには、引き取った母を、かわいがっていた私に間違えるぐらいになりました。

母は専業主婦で、1人で看ていました。
私はというと、大学に入って自由になったばかり。
楽しくて毎日出歩いていました。
今思えば、私ができることは沢山あったのだと思います。

だんだん母がまいっていく中で、
これでは、家族がおかしくなってしまうと
父と相談して、祖母を病院に入れました。
目が見えない祖母は、夜中ベットから落ちて頭を打ち、亡くなりました。

母は、せっかく引き取ったのに、1人で看ているのに、
祖母は看ている母に文句を言うし、機嫌のいい時は
私の名前しか呼ばないしで、辛かったと思います。

そんな中、母ひとりに任せて、何もやらなかった自分

母や看護婦さんなど女性を全て、私だと間違えるほど
私のことをかわいがっていた祖母を病院に入れてしまった私

あの時のことは、全てがイヤな思い出。
罪悪感のかたまりです。自分のことを許せてなかったのでしょうね。

カウンセラーになって、そんな許せない自分を抱えていることに気づき、
カウンセラーとしてニュートラルな状態でクライエントの話が聴けるように、
ゲシュタルトなど、自分がカウンセリングを受けるなど、
自分を許せるための工夫はここ数年してきました。

カウンセリングではないですが、
レーシックの手術の体験は大きなものでした。

私、先端恐怖症だったのです。
これも目が見えなかった祖母が影響していると感じていました。

先端恐怖症の私がレーシップ手術を受ける。
目が見えなくなるかもしれない。
すごく怖かったです。
結果、天罰があたることもなく、
手術してしばらくは目が普段どおりではなかったのですが、
その間、聴覚や触覚で過す体験をしました。
そのときに、私はずっと祖母のことをかわいそうだと思っていたのですが、
目が見えない分、それ以外の感覚が研ぎ澄まされ、
目が見えると感じないすばらしい体験があることを知りました。

祖母はかわいそうではなかったんだ。
私は何度も、おばあちゃんに「楽しい?」と聴いて、
おばあちゃんは、その度に「楽しい」と答えていましたが、本当だったんだと思いました。
そのときに、とてもとても救われました。

そんな経験もあって、今回のクライエント役は
あの時の自分で、私がカウンセラーとして苦手に感じていたテーマで参加してみたかったのです。

介護に関わる人が集まる中で
ある実の母を介護している女性から思いがけない話がでました。

辛いけど、
娘など家族が母親と話しをしている時間は、
その時間、自分が別のことができるし、
介護される側の母親も気持ちも明るくなったり、
その雰囲気にホットできると。

そして、ファシリテーターに、
娘さんの立場として参加されていますが、
今のをお聞きになってどう思いますか?と振られました。

実の母の気持ちも、祖母の気持ちも実際聴いてないけど、
もし、母がそのように思っていてくれるなら、嬉しい。

ここまで言って、泣きそうになって言葉がつまってしまいました。

いてくれるだけでいい。
それって最高の許しです。

なんか、なくなった祖母からもういいんだよ。
と言われているような、そんな気持ちになりました。

こういうことってあるんだな。

家族って大切なだけに、言いたかったのに言えてない言葉、
いってもらいたかったに言われていない言葉
それが、ずっとわだかまりになって残っていることがあります。

実の相手に言えたら、言ってもらうのが一番ですが、
こういう疑似体験も可能なんですよ。

同じような体験をした人の集まり、
もしくは違う体験の人の中でも起こります。
グループの力ってすごいんです。

いい体験ができました。
私にとって、ずっと引きずってきたことと、
ようやくさよならできるかな。



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