恩送り
【恩送り】という言葉をご存知ですか?
Wikipediaを見ると、
【誰かから受けた恩を、自分は別の人に送る。
そしてその送られた人がさらに別の人に渡す。
そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくということ】
だそうです。
私は、母親の実家が浄土真宗のお寺だったせいか、
母親が父親に嫁いだ後も、毎月お坊様が家に来ていて、小学校にあがる前からお説教を聞いていました。
当時の私には難しくてよくわかりませんでしたが、
温かくて安心できるオーラーの持ち主であるお坊様の言うことだから、
そして、なによりも母親が有難く頂戴している様をみて、
大事なことを言っているのだろう、大切にしなきゃ
と幼いながら思っていました。
そして、物心ついてから、
特にキャリアカウンセリングの勉強をはじめてから、
人の相談をうけるようになってから、
お坊さんが言っていたことが、あーそういえば!と呼び起こされるようになりました。
【恩送り】もその1つです。
行いは、巡り巡って廻ってくる。
今は形式的なお葬式でのお布施や食事の振る舞いですが、
これも、もともとは【恩送り】だったようです。
お坊さんにお布施を渡すことは、
故人を支えてくれた人に、恩返ししたくても返しきれない。
だから当時、公的な場であるお寺に寄付することによって、
将来、不特定多数の人が、その恩恵にあずかりますように。
との恩送りの精神から生まれたようです。
食事の振る舞いもそうです。
ご馳走が珍しかった時代に、近所の子どもをはじめ、
恩を受けた人にだけでなく、不特定多数の人に振舞われました。
恩送りは、お金や物品だけではありません。
私のキャリアカウンセラーという仕事も恩送りだと思っています。
私は、キャリアカウンセリングをしている時、誰かを支援しています。
しかし、その誰かは、その後、仕事で何かを生み出したり、子どもを生み育てたりして、
私は、その恩恵をうけているのです。
決して、一方的な関係ではありませんし、
恩を与えた人から直接、恩返ししてもらっているわけでもありません。
一人一人、自分ならではの恩送りの方法があるからこそ、
世の中はまわるのかもしれないなと最近考えています。
巡り巡って
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